受け継ぐ製法


 

 

一 、ひと晩かけて、豆をととのえる

 

大豆を水にひたします。

その日の気温を見てひたす時間を決めます。

やわらかくするために、水に何かを加えることはしません。

豆が持つ力と手の加減だけでととのえます。


 

二 、粉巻き 薄く、薄く、まとわせる

 

雅久の豆には、もうひとつの衣があります。

もち米を蒸し、焼いて挽いた粉と、米の粉。

これを有機きび砂糖の蜜と交互に、

四十分から五十分かけて、

豆にまとわせていきます。

蜜も粉も、薄く、薄く。

釜のかたむけ具合ひとつで、

衣のつき方が変わります。

濃ければ豆がかたまり、

薄ければまだらの衣になる。

この手法は、

二代目が見込んだ職人に、

つきっきりで伝えたものです。

教わっても、

だれもが身につけられるものではありません。

 

 

三 、煎り

 

雅久の煎りには、「何度で何分」という決まりはありません。

直火で煎るため季節が変われば煎り加減がまるで違います。

湿りの多い日と少ない日でも、

朝の釜と昼過ぎの釜でも、火の加減を変えます。

決めるのは、釜の前に立つ職人の五感だけです。


 

 

四 、味は日本伝統のものだけで

 

平釜で炊いた塩。

数百年の伝統が息づく蔵で、ゆっくり醸された醤油。

そして、純黒糖。

煎りたての熱いうちに、

湯気の中で味をまとわせます。


 

五 、つくり方は封をして守る

 

わたしたちの工房には、大切に守り継ぐ製法があります。

この家が編み出したつくり方を書き記したものです。

特許を取れば、中身は世に出ます。

だから取らずに日付の証しを受け、封をしたまま預けています。

見せて守るより、閉じて守る。

ただひたむきに、その技と想いを護り続けています。